按摩は、点状のしこり・線状のすじ・面状の張り、といった筋肉や結合組織の強張り(こり)を手指で押し・捏(こ)ねて揉みほぐし、血液やリンパ液の流れを回復して、身体組織の栄養状態を改善します。栄養状態がよい組織は本来の柔軟性とぬくもりを取り戻し、持てる機能を余すことなく発揮できるようになるのです。
トップページ | マッサージ(按摩)治療とは
マッサージ と称して現在国内で行われているものの多くは、実は按摩です。
西洋の手技療法であるマッサージは、オイル・クリームやタルク(粉)を使って皮膚と手の間の摩擦を逃がしながら施術します。これと、撫で・摩(さす)る手技を含む按摩は半ば意図的に混同されてきました。平たく言うと、「ハイカラなイメージに飛びついた」のです。
オイルやタルクを使用せず、着衣の上から、また、衣服のない部位は和手ぬぐい等の布を当てて肌を守りつつ手指で揉みほぐす技術は、鍼灸とともに飛鳥時代に伝えられた古法按摩を源流にしています。
こりは、神経の興奮による組織の過緊張・体液の循環不全による滞留・それらに伴う老廃物の蓄積などがあいまって現れます。身体的・心理的な疲労、いわゆるストレスは、コリを出現させる環境を整えてしまうのです。困ったことに、こりは放置すると次第に拡大し深化します。
こりがひどくなると、張りつめて痛み出すだけでなく、頭痛・耳鳴り・めまい・吐き気等いわゆる不定愁訴を引き起こします。例えば背筋の強張りをあまり放置すると、奥にある呼吸筋の運動まで阻害して呼吸が浅くなり、睡眠の質を著しく低下させてしまうことも珍しくありません。
また、痺れや神経痛の原因の多くはこりである、といってもよいでしょう。
ストレスのもととなる日常生活は、そう変化に富んだものではないはずです。通勤・仕事・家事労働など、日々身体が行う動作は決まりきったものとなり、そのため使用される筋肉はかなり限定されます。つまり、同じ所へ繰り返し負荷がかかり続けるのです。
周囲の環境も一定しているのが普通で、心の負担となる人間関係が劇的に変化することなど滅多にありません。ストレスの原因は常に身近にあり続けます。生活を変えることなど、なかなか出来ない方のほうが多いのではないでしょうか。
体操や気分転換を上手に取り入れて生活を改善できればそれが一番です。が、物理的・心理的に余裕がないと、こうしたこともままなりません。疲れが溜まる多忙な折ほど、とても時間をさけないことでしょう。
そうして溜まりに溜まったストレスは、こりを広く深く成長させてしまいます。
悪化したこりは、もう体操ではほぐれてくれません。身体を休めようにも、よく眠ることさえ出来なくなっているため、朝目が覚めると疲れている、などということになりがちです。もちろん、薬を飲んでも治ってはくれません。
揉みほぐすことが、鍼灸で緊張を緩めるのと同様に、ひどくなったこりから開放される最も有効な方法なのです。
「そこだ」という場所に手が差し伸べられ、確かにこりを捉えて揉みほぐされる心地よさは、何にも代え難いものがあります。
按摩と指圧は、実際には1つの治療項目として、症状により使い分けながら施術を行います。