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リンパ浮腫の治療

リンパ浮腫の原因と症状

リンパ浮腫とは、リンパ管やリンパ節の働きが阻害されたために起こる浮腫を、リンパ浮腫といいます。通常は体組織の細胞間を満たす組織液の一部がリンパ管に取りこまれ、リンパ液となって運び出されて静脈に合流し、最終的に尿として排出されます。

何らかの原因でリンパ液の輸送が滞ると、組織液が過剰に溜まって浮腫が発生します。リンパ液として輸送されなかった組織液は水よりも分子の大きなタンパク質を多く含むため、利尿剤(毛細血管からの水分の再吸収を促す)を服用してもリンパ浮腫への効果はあまり期待できません。

リンパ浮腫の原因

複合的理学療法(CPT)の対象となるのは以下のようなケースです。(1は原発性、2~7は続発性リンパ浮腫と呼ばれます。日本国内では乳がん・子宮がん・卵巣がん・前立腺がんなど癌治療後の続発性リンパ浮腫が増えています)

  1. リンパ管やリンパ節の発育不全がもとで起こる場合
  2. 癌の手術や放射線治療によってリンパ節が一部摘出されたり機能しなくなった場合
  3. 腫瘍がリンパ管やリンパ節に浸潤した場合
    (この場合が治療対象となるかどうかは主治医の判断に委ねられます)
  4. 静脈の疾患がもとで起こる場合(慢性静脈不全症候群など)
  5. 寝たきりや麻痺などによって循環障害を起こした場合(廃用性浮腫)
  6. 捻挫等の外傷によってリンパ管やリンパ節が障害された場合
  7. 寄生虫(フィラリア原虫等)によってリンパ管やリンパ節が閉塞された場合

リンパ浮腫の症状

複合的理学療法(CPT)の対象となる方には「患者紹介状(診療情報提供書 弊院発行)」・「弾性着衣等装着指示書(厚生労働省HPよりダウンロード)」原本をお渡ししますので、主治医の先生にご記入いただいてください。

弾性包帯・弾性着衣の購入費用については各種健康保険の療養費支給対象となります。
(カウンセリングや徒手リンパドレナージ・バンテージ装着その他の治療行為については健康保険療養費の支給対象となっておりません)

リンパ浮腫の治療が行えない禁忌症

下記の症状があるときには治療を行えないか、一時的にお休みする必要があります。禁忌症には治療を行わない【一般禁忌】と医師の指示によっては治療を行う【相対禁忌】があります。

一般禁忌(CPTは行いません)
  1. 感染症による急性炎症
  2. 心性浮腫・心疾患
  3. 下肢静脈の急性疾患(MLDの一般禁忌)
  4. 閉塞性動脈硬化症(BDGの一般禁忌)
  5. 強皮症(BDGの一般禁忌)
相対禁忌(CPTには医師の指示が必要です)
  1. 悪性腫瘍(MLDの相対禁忌)
  2. 高血圧・狭心症・不整脈(BDGの相対禁忌)
  3. 糖尿病・感覚障害(BDGの相対禁忌)
  4. 乳幼児(BDGの相対禁忌)

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

リンパ浮腫患者の約半数が経験すると言われる合併症です。本来代謝されるべき組織液やリンパ液が滞留すると感染症を起こしやすくなります。小さな傷や虫さされ・水虫などの細菌感染や、心身の過度の疲労を原因とした免疫力の低下に伴い皮下組織が広範囲に炎症を起こすのが蜂窩織炎です。

下記の症状が現れたら速やかに医師による適切な処置を受ける必要があります。

  1. 【悪寒】 寒気がする・全身がだるい・体が震える(風邪による悪寒と似ています)
  2. 【発赤】 患肢が広く発赤して継続的に熱がある(痛みを伴うことも多い)
  3. 【発熱】 38℃以上の高熱

蜂窩織炎による症状を説明した画像です

適切な診察・処置を受けた後は、服薬など医師の指示に従いつつ、熱感がある部分を冷やし悪寒がある場合には体を温め安静にします。
炎症時には症状を悪化させる恐れがあるため複合的理学療法(CPT)は一時お休みします。

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